リーズナブルな商品提供を目指して

清翔苑の清水社長の実家はお祖父さんの代から続く染物屋さん。その 3代目である清水さんが呉服の製造販売と悉皆(しっかい)を行うこの会社を設立したのは、平成8年8月のことでした。

呉服というと、値の張る高級品というイメージをもたれがちです。呉服自体が時間をかけて手作業によってつくられる商品である上に、呉服業界では、商品が製造元からいくつかの問屋、小売店と何段階も経て流通するため、どうしても小売価格が高くなってしまうからです。しかし、このままでは着物離れの傾向は加速するばかり。着物にはあこがれるけれど高価だしお手入れも大変そう、という若い人たちにも気軽に着物を着てほしい、そのためにも流通経路を短くして品質のよい商品をもっと安くで提供していきたい、という思いから、清水さんはこの仕事を始めることにしたと言います。

これからの伝統工芸を担う若者へ

「伝統工芸の仕事を志している若い人たちにとっては、今この時の経験がすべて今後につながっていくことなので、少しくらい背伸びしてでもとにかく何ごとも貪欲に吸収してほしい。そして持てる時間を費やして、できる限りの厳しさをもって技術を体得していってほしいですね。元来職人さんというのは、師匠と弟子という縦割りの関係が基本の社会です。

今の若い人には、そうした関係はあまりなじみのないものかもしれませんが、技を磨く職人の世界では皆横並びという関係では決して得られないし、伝わらないものがあります。そうした職人さんの社会の中で基本をしっかり身に付けたうえで、独自の世界を築いていってもらいたいですね」。

もっと着物に親しんでもらうために

かつて着物は私達日本人の普段着であり、日々の生活に根付いたものでした。けれど戦後、和装は洋装に取って代わられ、日本人のライフスタイルも大きく様変わりしました。清水さんは言います。「日本の伝統的な文化や考え方が失われつつある今だからこそ、日本の服飾文化のアイデンティティーである着物の良さを皆に知ってもらいたい。そのためにも、顧客の声を直に聞いて要望に応える商品をよりリーズナブルな価格で提供し、長く着物を着てもらうお手伝いをしたいんです」。

最近はお香や和風の雑貨が人気ですが、そうした「和」の要素は現代人に癒しや安らぎのようなものを与えてくれるものです。「これからは欧米からよい影響を受けつつ、古来より脈々と受け継がれてきた日本固有の文化の良さを見直し、再認識してもらえるように働きかけていきたい。そして、和の要素がもつ癒しの効果や日本文化にこだわりを持ちながら、着物を通して新しいライフスタイルを提案していければ」と語る清水さん。これからもその取り組みに注目していきたいものです。