お店紹介


野田工芸の仕事

扇子作りの工程は大きく分けて下の 5つに分かれ、それぞれ専門の職人による分業体制で生産される。さらに細かく分けていくと、ひとつの扇子を作るには約20もの工程が要される。その全体の管理を行うのが製造卸である野田社長の仕事だ。受注先の希望をもとに、デザイン立案をし、発注する職人選び、生産計画までを一手に引き受ける。職人ではなくコーディネーターという立場になる。 一般的な涼を取る扇子のほか、舞扇やお茶扇などの受注も多く、その際、発注先の要望に応える商品を提供するためには、扇子そのものに関する知識はもとより、花鳥風月や繊細な四季の彩りを映す、舞踊や茶の湯に関する深い造詣、そして洗練された高い美意識が求められる。 「作った扇子が舞台で手にされているのを見るとやはりうれしいですね。」客の顔を見てものを作る喜びというのは、人と人とつながりの商いを中心に置く京都の伝統産業ならではのものであろう。

  • 扇骨加工:竹から扇の骨を作る
  • 地紙加工:3枚の紙を貼り重ね、扇形に裁断する
  • 絵付け:手書き、印刷、版画、箔押し(金箔)などで扇面を彩る
  • 折り絵付けをした地紙を折ったのち、扇骨を通すための道をつける
  • 仕上げ地紙に扇骨を通し、貼り合わせる


京扇子のこれから

伝統産業のなかでもその需要の高さから、京扇子は比較的盛んな業種である。その道を志す若者も多く、実用として一般的な認知度の高い商品であるため、展開次第ではその市場を大きく広げていく可能性も高いと言える。野田工芸でも、時計、携帯電話、ペン、手帳など、現代的な手回り品に合うステンレス製の扇骨を用いた扇子など、時代の要求に応える商品を開発中だ。「ただ、若い子は『作家』志望ばかりだからね。」と野田さんは言う。単純作業に徹する職人の仕事は若い層にはどうしても避けられがちとなり、若い層に受け入れられがたいのが問題点である。京扇子に限らず、今日に伝わる京の伝統産業は数々の職人の老練な技術に支えられてきたものであることは言うまでもない。確立された市場から、その収入は比較的安定しているといわれる。それに加え、伝統を支える裏方としての魅力をどう広げていくかが課題であろう。